ある日突然、動画がカクカク止まり始めた
オンライン会議で音声が途切れる
ゲームで一瞬遅れて負けてしまう…
「もしかして、ウチだけインターネットが遅いのかな?」
マンションにお住まいの方で、このような悩みを抱えている方はとても多いです。“隣の部屋ではサクサク動いているのに、なぜか自分の部屋だけ夜になると回線が重くなる”という現象は、実はマンションに住んでいる方にとって「あるある」なのです。
でも、ご安心ください。インターネットが遅くなる原因は、あなたの家のせいではないかもしれません。
そして、専門知識がなくても、今日から試せる簡単な対策で、そのイライラを解消できる可能性があります。
マンションなどの集合住宅では、戸建て住宅とは少し違う仕組みで光回線を利用しています。例えるなら、光回線の通信はバケツリレーのようなものです。
- 光ファイバーの幹線
一本の太い光ファイバーケーブルが、マンションの共有スペース(MDF室など)まで届きます。これは、マンション全体で使う水の元栓のようなものです。 - 共有スペースでの分岐
ここで光ファイバーが細かく分岐され、各部屋へと繋がれます。
問題は、この「共有スペースでの分岐」にあります。一本の太い回線を、たとえば30世帯でシェアしている場合、全員が同時に大容量の通信(高画質動画の視聴など)を始めると、その回線が混雑してしまいます。
これが、夜間や休日など、みんながインターネットを使う時間帯に速度が急激に落ちる最大の理由です。
ただし、原因はそれだけではありません。あなたの部屋にある「機器」や「設定」が原因になっていることもあります。
- 原因の特定:遅さの原因が「あなたの家の機器」「設定」「マンション全体の問題」のどこにあるかを見分けるヒント。
- 劇的な改善策:お金をかけずに今すぐ試せる、ルーターや設定の簡単な見直し術。
- 根本的な解決:最終手段として検討すべき、契約や回線方式の見直し。
この記事では、インターネットに詳しくない初心者の方でも、専門用語に悩まされずに回線を速くするための具体的な方法を、上記の3ステップで解説します。
STEP 1:遅さの原因はアナタの家にあるかも?

インターネットの速度は、光回線そのものの速さだけでなく、あなたの家にある機器の性能や状態に大きく左右されます。
ここでは、専門知識は一切不要!誰でもすぐにできて、効果が出やすい“機器のメンテナンス”から解説していきます。
⒈一番簡単な対策!電源を入れ直してみる
インターネットが遅いと感じたとき、まず最初に試してほしいのが、機器の再起動です。
パソコンやスマートフォンも長時間使うと動きが重くなるのと同じで、インターネット機器も休ませてあげると動きが改善することがよくあります。
再起動の方法
コンセントにつながっている機器をすべて確認します。主に以下の2つがあるはずです。
- ルーター/Wi-Fiの電波を出したり、複数の機器をインターネットに繋げたりする箱。
- ONU(回線終端装置)/光ファイバーの信号を電気の信号に変換する機器。プロバイダから提供されます。
ルーターとONU、両方の電源ケーブルをコンセントから抜きます。
必ず5分以上待ちます。これにより機器が完全にリフレッシュされます。
ONU(回線終端装置)を先に入れ、ランプが安定したら、次にルーターの電源を入れます。
⒉ルーターが古いかチェック!
ルーターは消耗品です。購入してから長期間経過している場合は、それがボトルネック(速度の限界)になっている可能性が非常に高いです。
「光回線の契約は速いのに、Wi-Fiだけ遅い」と感じるなら、ルーターが原因かもしれません。
チェックポイントと目安
- 購入時期
5年以上使っているなら交換を強くおすすめします。ルーターの寿命は一般的に4~5年と言われています。 - 対応規格
ルーターの裏や説明書に「IEEE 802.11〜」と書いてあります。できれば「Wi-Fi 5 (11ac)」ではなく、「Wi-Fi 6 (11ax)」対応の機種に替えることを検討しましょう。 - マンション向き?
「メッシュWi-Fi」対応ルーターなど、広い範囲に電波を飛ばしやすい機能がついている機種を選ぶと、部屋の隅でも快適になる場合があります。
⒊LANケーブルを変えてみる
パソコンやルーター同士を繋いでいる“LANケーブル”も、速度の限界を決めています。
せっかく光回線が速くなっても、ケーブルが古いとそこで速度が頭打ちになってしまいます。
チェックポイントと交換のすすめ
LANケーブルの表面には、必ず「CAT.〇」という印字があります。この「CAT.」はカテゴリーを意味し、数字が大きいほど一度に送れるデータ量(速度)が上がります。
- CAT.5やCAT.5eを使っている場合は要注意!
- CAT.6A(カテゴリー6A)または CAT.7(カテゴリー7)以降のケーブルに交換しましょう。家電量販店やオンラインショップで数百円から購入できます。
STEP 2:Wi-Fiの設定を変えるだけで劇的に速くなる

機器を再起動し、古ければ新しいものに交換したとしてもまだ遅いと感じる場合は、“Wi-Fiの設定”が原因かもしれません。
特にマンションでは、隣の部屋のWi-Fiと電波がケンカしてしまい、速度が落ちることがよくあります。
⒈Wi-Fiの「周波数」を切り替える
あなたのルーターは、おそらく2種類の電波(周波数)を出しています。
- 5GHz帯(速いけど壁に弱い)
- 2.4GHz帯(速度は控えめだけど遠くまで届く)
多くのルーターは、それぞれの周波数で別々のWi-Fiネットワーク名(SSID)を持っています。
周波数の使い分けで混雑を避ける
- 特徴:非常に速い。しかし、壁や床などの障害物に弱く、ルーターから遠い場所だと電波が届きにくい。
- おすすめの場所:ルーターと同じ部屋や隣の部屋など、近い場所で使うとき。
- Wi-Fi名(SSID)の例:末尾に「-A」「-5G」「5GHz」などが付いていることが多い。
- 特徴:速度は5GHzに劣るが、電波が遠くまで届くし、壁や床を貫通しやすい。
- おすすめの場所:ルーターから離れた部屋、階をまたぐ部屋など、電波を遠くまで届けたいとき。
- Wi-Fi名(SSID)の例:末尾に「-G」「-2G」「2.4GHz」などが付いていることが多い。
まずは、スマートフォンやパソコンのWi-Fi設定画面で、5GHz帯のSSIDに切り替えて接続し、速度が改善するか試してみましょう。
⒉電波の邪魔者を遠ざける
Wi-Fiの電波は、目に見えない光のようなものです。ルーターの置き場所が悪かったり、電波を吸収・反射するものの近くにあったりすると、速度が落ちてしまいます。
ルーターの最適な置き場所
NGな置き場所
- 床や部屋の隅:電波が広がりません。
- テレビや金属ラックの裏:電波が遮断・吸収されます。
- 電子レンジやコードレス電話機の近く:これらの電化製品は2.4GHz帯の電波を出すため、Wi-Fiの電波とケンカしてしまいます。
OKな置き場所
- 家の中心付近:家全体に電波が届きやすくなります。
- 床から1~2mの高さ:棚の上や家具の上などが理想的です。
⒊使わない機器のWi-Fi接続を切る
インターネットの回線は、Wi-Fiに接続しているすべての機器で分け合って使っています。
たとえば、古いスマホ、使っていないゲーム機、昔使っていたタブレットなどがWi-Fiに接続したままになっていると、それらの機器もわずかですが回線の一部を消費し続けてしまいます。
そのため、現在使っていない機器は、設定画面からWi-Fi接続を一度OFFにするか、電源を切っておきましょう。
STEP 3:それでも遅いなら契約や住居の問題かも

STEP 1と2の対策を試しても改善しない場合は、「マンションの回線構造」や「プロバイダの混雑」といった、個人では変えにくい根本的な問題に直面している可能性があります。
専門的な話になりますが、できるだけ簡単に解説しますので、チェックするポイントを押さえておきましょう。
⒈マンション回線の「タイプ」を確認する
マンションに導入されている光回線の配線方式は、大きく分けて2種類あります。あなたがどちらの方式を使っているかによって、回線速度の上限が決まってきます。
マンション回線の配線方式
- 仕組み
光ファイバーケーブルはマンションの共有スペース(MDF室)まで来ていますが、そこから各部屋までは、昔からある電話用の銅線(メタルケーブル)を使ってつなぎます。 - 特徴
電話線は通信速度が遅いため、速度が最大100Mbps程度に制限されてしまい、混雑時はさらに遅くなりがちです。
- 仕組み
光ファイバーケーブルが、共有スペースを通ってそのままあなたの部屋の中まで引き込まれています。 - 特徴
これが最も理想的で、戸建てと同じように最大1Gbps(またはそれ以上)の高速通信が期待できます。
まず、管理会社やプロバイダに電話し、「自分のマンションはVDSL方式ですか、それとも光配線方式ですか?」と尋ねてみましょう。
もしVDSL方式だった場合は、残念ながらあなたの家の中での設定では速度を劇的に改善させることは難しいです。後述の「戸建て用回線への切り替え」を検討するか、回線自体の切り替えを検討する必要があります。
⒉プロバイダ(接続業者)を変えてみる
マンションの光回線が遅いと感じる最大の原因の一つが、プロバイダの混雑です。
プロバイダとは、回線業者(NTTなど)とインターネットを繋いでくれる接続業者のことです。
例えるなら、回線業者が「高速道路」を作り、プロバイダが「高速道路の料金所」を担当しているイメージです。いくら高速道路が速くても、料金所(プロバイダ)で車が大渋滞(アクセス集中)していたら、先に進めませんよね。
新しい技術「IPv6 IPoE」をチェック!
最近の新しいプロバイダは、「IPv6 IPoE」という新しい接続方式を採用しています。
このIPv6 IPoEは、従来の混雑しやすい「料金所」ではなく、新しい、空いている専用の入り口から高速道路に入れるようなイメージです。
まず、今使っているプロバイダが「IPv6 IPoE」に対応しているか確認しましょう。もし対応していなければ、IPv6 IPoEに対応したプロバイダに乗り換えるだけで、夜間の回線速度が劇的に改善する可能性が非常に高いです。
⒊最終手段:マンション専用回線から戸建て用回線への切り替え検討
「VDSL方式で速度の改善が見込めない」「プロバイダを変えても混雑が解消しない」といった場合は、マンションの共有回線を使うのをやめ、自分の部屋に戸建てと同じ回線を直接引き込むという最終手段があります。
回線を共有しないため、理論上は常に高速通信が可能になりますが、工事が必要になるので費用がかかります。
また、賃貸物件の場合は必ず管理会社や大家さんの許可が必要になりますし、マンションの構造によっては工事自体ができない場合があります。
まずは管理会社に「戸建て用の回線を部屋に引き込みたいが可能かどうか」を相談してみましょう。
まとめ
この記事でご紹介した対策を、簡単なチェックリストで振り返りましょう。上から順番に試していくことで、インターネットの遅さを解消できる可能性がグンと上がります。
- 機器の再起動
ルーターとONUの電源を5分抜いて入れ直したか - ルーターの交換
5年以上使っているなら「Wi-Fi 6」対応機への交換を検討したか - LANケーブル
LANケーブルを「CAT.6A」以上に交換したか - 周波数の切り替え
スマホやPCのWi-Fi設定を「5GHz(-A)」に切り替えたか - ルーターの場所
ルーターを床やテレビの裏から外し、高い位置に置いたか - 回線方式の確認
マンションが「光配線方式」か「VDSL方式」か確認したか - プロバイダの見直し
「IPv6 IPoE」に対応したプロバイダへの乗り換えを検討したか
これらの対策を一つずつ行い、一度インターネットのスピードテストをしてみましょう。
ネットで「スピードテスト」と検索すれば、簡単に速度を測れるサイトが見つかります。対策前の速度と比較して、どれだけ改善したかを確認してみてください。
「設定や機器の交換はやっぱり不安…」という方は、無理せず家電量販店やプロバイダのサポート窓口に相談することも一つの手です!
スムーズなインターネット環境を取り戻し、イライラしないネットライフを送りましょう!
